
Malibu
from album “An Insatiable High” 1977
Guitar : 高中正義、Lee Ritenor
Drums : Harvey Mason 、村上 秀一
Bass : Aberaham Laboriel、Chuck Rainey
Keyboards : Patrice Rushen、深町 純
Percussion : Paulinho Da Costa、浜口 茂外也
Horns : Tower Of Power Horns
高中正義が1977年発表した彼のソロ 3rd Album “An Insatiable High” からの一曲。豪華な参加ミュージシャンは前回紹介の"Mermaid Boulevard"と重なる面々が多いです。聴き比べると面白いかも。
MalibuはとにかくPatrice Rushenのローズ・ピアノを堪能、そして高中の作曲・編曲センスの良さを味わう曲。
イントロではAberahamのゴリゴリしたベースにリトナーのワウを効かせたギターが絡みます。高中は乾いた音のアコギでバッキング。深町のシンセによるストリングスが被さりRushenのローズが主旋律を奏で始めます。このメロディーが実に素晴らしい。少し歌謡曲っぽいですが、何とも淡い感じで海辺の夕暮れの雰囲気かな。「海男」高中の面目躍如です。因みに Malibu はロサンジェルス西の海岸に位置する高級住宅街。夕暮れの写真をご覧ください(↓)。曲はまさにこの雰囲気です。
さてRushenのローズです。柔らかめのトーンでポロリポロリ、淡々とメロディーを弾きます。速弾きではないので逆にローズの音色の美しさをじっくり堪能できます。私はローズ・ピアノの大ファンですが、この曲ほど純粋にローズを楽しめるトラックは少ないです。あと思いつくの本田竹曠かな。彼のAlbun "Boogie-Boga-Boo"はシンプルにローズが楽しめる演奏が一杯ですが廃盤の様ですね。中古もなかなかの値段がついています(下はamazonへのリンクです、画像がないです)。
Patrick Rushenはデビュー当時「女ハンコック」と呼ばれるほどHerbie Hancockの影響を受けたピアニストでした。影響どころかHancockそのもの、モーダルな初期の純ジャズ演奏から始まり、ファンクからR&Bへと続いていくアーティストとしての軌跡もハンコックそのものです。"Befoere The Dawn" 1974(以下↓)一曲目"Kickin' Back"は、Head Huntersの未発表曲と言われても違和感ありません。ハンコックより少しLightなところが個性かな。
高中に戻ります。"An Insatiable High"は高中では最もフュージョンっぽいアルバムです。彼は「JPOPインスト」の代表格でそのセンスは素晴らしいものがありますが、ジャズ好きには演奏力という意味で物足りなく感じる時があります。しかしこのアルバムでは豪華メンバーと互角で「やるなー」と意外感を感じる程です。特にA面(昔のLPレコード)3曲が良いです。
A-1「Sexy Dance」:これぞ高中と呼びたいGroovyな曲。Towers Of Powerのホーンが素敵。高中のソロもカッコ良い。
豪華メンバーと共演しても負けない高中カラー爆発です。この曲は今でも時々TVのBGMで使われています。
A-2「Malibu」:紹介した通り高中プロデュースの(彼の)生涯最高傑作。
A-3「An Insatiable High」:表題曲。高中とRitenorのギターバトルが聴けます。高中はストラトにディストーション、Ritenorはギブソンのセミアコと、音色と奏法の違いが面白い。しかし何よりも楽曲のセンスが良いです。高中最高!