夏真っ盛りですね。この季節にぴったりなアルバムを一枚紹介します。常夏の無人島に一枚だけ持っていくなら、Deodatoの "Love Island" で決まりです。
"Love Island" by Deodato 1978
Keyboards: Eumir Deodato
Producer: Tommy LiPuma
Guitar: Larry Carlton, Al McKay, George Benson etc
Drums: Freddie White, Harvey Mason etc
Bass: Pops Popwell, Gordon Edwards
Trombone: Sam Burtis, Wayne Andre
Deodatoはブラジル出身のキーボード奏者、アレンジャー。フュージョンが未だクロスオーバーと呼ばれていた1970年代から活躍しています。大仰なクラシック音楽との融合サウンド("ツァラトゥストラはかく語りき”など)で有名ですが、私は彼がローズピアノを弾く小曲が好みです。
そんな彼のアルバムとしての最高傑作が "Love Island"。プロデューサーはあのトミー・リピューマ。そして参加メンバーが凄い!Earth Wind & Fireの面々が(一部の曲ですが)参加しています。また当時クルセイダーズに参加していたLarry Cartonの、カッコいいリズム・カッティングを随所で聴くことができます。一曲だけ(B1 Love Island)George Bensonのソロが楽しめます。
お薦めの曲は;
A2 Whistle Bump:Larry Cartonのリズム・ギターがカッコよいジャズ・ファンク。じんわりとしたストリングス・アレンジメントも良い雰囲気。
この曲に続く、A3, A4, B1の三曲がこのアルバムのハイライト。まさに夏のリゾート感が満喫できるチューンが続きます。この三曲だけでミニ・アルバムを作って欲しいくらい。紹介します。
A3 Tahitti Hut:EW&FのMaurice Whiteとの共作。アースの面々が演奏に参加しています。B1もそうですが、アースの "That's the way of the world” を思い出させるミドル・チューン。Al McKayの切れ味の良いリズム・ギターがアースそのもの。トロンボーンの音色がゆったりとしたメロディーにピッタリです。途中Deodatoのスキャット入りのローズ・ピアノも聞き物です。
A4 San Juan Sunset:物憂い海辺の夕暮れを、Deodatoのローズとそれに絡むCartonのギターが良く表現しています。この曲はLee Litenourがアルバム「In Rio」でカバーしています。Ritenourのこのアルバムも「無人島候補」ですよ。
B1 Love Island:アナログシンセのイントロからDeodatoのローズが伴奏を始め、ギターのカッティングがリズムを刻みます。じんわりとしたストリングスが被さり、トロンボーンが奏でるメロディーが眠たい夏の午後を思わせます。このままカクテルでも飲んで少しお昼寝をしたくなる。。。べたですけれど、そんなリゾート感覚の演出に大成功している曲です。ストリングスやブラスの重ね方などDeodatoのアレンジ能力に脱帽。またこのアナログな感じは、今聞いても逆に古く感じないです(80年代のデジタル加工された曲を今聞けますか?古臭くてすぐ止めちゃいますよ)。
最後に、Deodatoのアレンジ能力が見事に発揮されている作品を一つ紹介します。Wes Montgomeryの"Down Here on the Ground”です。
このアルバムの殆どの曲はドン・セベスキーの編曲ですが、この曲だけはDeodatoです。聞き比べると面白いかもしれません。Deodatoのアレンジは、オーケストレーションを薄く背後で流し、Jazz Trio(Guitar/Bass/Drums)を前面に出したものです。Wesのオクターブ・ギターが美しく聞こえるよう、薄いけれど丁寧に弦楽器やフルートを重ねています。とても趣味が良い編曲で、今聞いても全く古さを感じません。
"Love Island"は夏の午後カクテルを、"Down Here on the Ground"は夜ブランデーを飲みながら、聞いてみてください。