投資に役立つメモ:米国株式のPERは高過ぎか
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現状20~25倍程度で推移している米国株式市場のPER(Price Earning Ratio:株価収益率)は高すぎるのか、理論的に考察してみます

株価の割安・割高を判断するのに最も適している指標はPERと考えています。米国株式市場のPERは現状20倍以上で推移していますが、果たしてそれは高すぎるのか?

PERは以下の式で表されます。
$$PER=\frac{1}{r-g}$$

ここでrは資本コストgは利益成長率です。

この式に基づいて米国のPERが果たして高すぎるのか、考えてみます。

本投稿の内容
PERは1÷(資本コストー利益成長率)で計算される
米国企業の資本コスト(平均)は現状7%程度、今後の利上げを考慮すると8%程度に上昇
米国企業の長期的な成長率は4%程度は見込める
•資本コスト8%、利益成長率4%を代入すれば米国株式PERの理論値は25倍
日本株のPER15倍は、資本コスト6%、利益成長率ゼロ%と整合的

PER(株価収益率)の理論式

PERは以下の式で表されます。
$$PER=\frac{1}{r-g}$$

上記式について、詳しい内容は以下投稿を参照してください。

ポイントは分母の (r-g) です。即ち、(資本コストー利益成長率)

資本コストは割引率です。将来の不確実性(リスク≒価格の振れ)を数量化した、文字通り価格を割り引く(discount)ための率です。

この割引率が高いほど、価格(現在価値)、そしてPERは低くなります。

重要な点は、利益成長率が割引率を低下させる効果を持つ、ということです。資本コストから利益成長率が引かれているのは、そういう意味です。

頭の体操です。r<g(資本コスト<利益成長率)の場合はどうなるのでしょう?

答えは「あり得ない」です。資本コストを上回る利益成長率があるということは、無リスクでリターンを生むリスク商品(株式)が存在するということです。無リスクのリスク資産は、存在自体が矛盾です。仮にそのような証券が存在した場合、買いが殺到し(必ず価格が上がり続ける超美味しい株だから)値段は無限に発散してしまうでしょう。

米国株式の資本コスト、利益成長率

•米国株式のマーケットリスクプレミアムは6%、国債金利は利上げ後2%
•米国の潜在成長率は1.8%、対応する企業の(長期)利益成長率は2%
•上記から計算されるPERの理論値は25倍、米国株式は割高でなく適正水準との結論

米国株式の資本コスト(*)は現状7%程度利上げ後8%程度に上昇すると見ています。

(*)ここで資本コストとは、米国債10年金利+マーケットリスクプレミアムのことです。株式市場全体の「資本コスト」はあまり使われない言葉ですが、個別株式の理解との連続性から、あえて資本コストと表現しています。

マーケットリスクプレミアムはS&P500の値動きから統計的に計算されます。概ね、6%程度と推計されることが多いです。米国国債金利は過去1%程度、今後は2%程度で推移するでしょう。よって市場全体の「資本コスト」は7%程度から8%程度に上昇するでしょう。

企業の利益成長率はどの程度と見積もるのが妥当でしょうか。FOMC等では米国の潜在成長率は1.8%程度と議論されています。10年程度の長期では企業の利益成長率(実質)は潜在成長率を若干上回る程度と見積もるのが合理的です。実質利益成長率は2%程度、インフレ目標(誘導値)2%を加えると、米国企業の長期成長率(名目)は4%程度と見積もるのが妥当でしょう。

資本コストと利益成長率が決まりました。計算式から導かれるPERは25倍です(1 ÷ (0.08-0.04))。

よって現状の米国株式PERは決して割高ではなく、むしろ適正値と言ってよいと思います(今後の金利上昇を加味しても)。

日本株のPERはどう評価すべきか

•日本株のマーケットリスクプレミアムは6%、国債金利は0%
•デフレに再度突入しそうな日本企業の期待収益率は0%
•上記から計算されるPERの理論値は16~17倍
•足元のPERは15倍を下回るが、岸田政権の経済政策の失敗を市場が織り込み始め、資本コストが上昇していることが原因
•日本株はPER10倍を下回ることも想定、その場合の日経平均は1万8000円程度。非常にリスクの高い状況と判断

日本株の平均PERは15倍、最近の株価の軟調から13倍程度に下落することも度々です。

日本株の「資本コスト」は6%と計算されることが多いです(マーケットリスクプレミアム6%+国際金利0%)。

企業の利益成長率は?残念ながらゼロ近傍に低下していると考えざるを得ません。長引くデフレと緊縮財政の結果です。

資本コスト6%、利益成長率0%で計算すると、PERの理論値は16~17倍となります。最近の15倍を下回る株価を考えると、今の日本株は割安なのでしょうか。

私はそう思いません。最近の株価の低迷は、資本コスト(リスクプレミアム)が上昇していることが原因と考えるからです。

なぜ(日本株の)資本コストが上昇しているのか?

資本コストはマーケットリスクプレミアムと国債金利の合計です。更に、マーケットリスクプレミアムとは、システマティックリスクの反映であることを思い出しましょう(色々な言葉が出てややこしいですね。システマティックリスクについては以下投稿を参考にしてください)。

そう、マクロ経済政策の失敗はシステマティックリスクの代表格なのです。岸田政権が長期化した場合の、経済政策の失敗を市場が織り込み始めているのです。

失敗とは、財政緊縮路線の強化と、早期の金融引き締めです。私は資本コストは既に8%程度に上昇していると思います(対応するPERは12.5倍)。いよいよ政策の失敗が現実化した場合は10%以上に上昇すると思います。PERが10倍を下回った場合の株価は、日経平均で1万8千円程度です!今から1万円を下落。しかし十分あり得るシナリオです。私は6月までに日本株は全て手放して米国株式にシフトする予定です。日本株は危なくて保有できません

<投資は自己責任で>

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