
Contents
株式投資について、今までの投稿(10〜13)をまとめます
前回まで説明した内容の骨子を列挙します。
⚫︎株式投資の長期リターンは大きい
⚫︎株式投資の基本は分散投資。個別株式投資はリスクとリターンが見合わない
⚫︎株式投資のリターンの源泉は経済成長
⚫︎株式投資判断の二大要素 リターンとリスク
⚫︎分散投資の効果 ←同一リターンで低リスクのポートフォリオが組成可能
⚫︎安全資産(現金や国債)を株式ポートフォリオに加えれば、最適な株式の組み合わせはたった一つ
⚫︎最適な株式組み合わせは「市場ポートフォリオ」
⚫︎「市場ポートフォリオ」それが人々が凌ぎを削って実現している現実の株式市場(のミニチュア)
⚫︎株式市場のミニチュア≒インデックス投資 トービンの予言に現実世界が近づいている
株式投資の理論を「超訳」してみよう
以上を、思いっきりざっくり、「超訳」してみましょう。
一つの株だけに投資するのは危なっかしくて割に合わないよ。
でも良い方法がある。いろんな株を混ぜて投資するんだ。
そうすれば、ある株が下がっても他の株が支えてくれる。
究極、全ての株に投資すれば、経済成長率に上乗せした儲け(リターン)が期待できるよ。
ただ、気長に(長期間)持つことが大事。
リターンの源泉、経済成長には、政府・中央銀行が然るべく政策を打つ事が前提だけどね。
概ね先進国はちゃんとしてるかな。日本が問題だけどね(経済政策音痴)。
>「いろんな株を混ぜる」ってどうするの?「全ての株」と言われても、どうしたら良いかわからない。
ご安心を。株の「混ぜ方」で貴方な悩まなくて良いのです。
皆が凌ぎを削る株式市場ですから、現実の市場が最も効率的に「混ざってる」のですよ。
そして今や「全ての株式のミニチュア」出来上がっています。
「インデックス投資」というんだ。「全世界株式のミニチュア」が理想だよ。
それに近い商品(投資信託)を選ぶだけ。できるだけ単純なインデックスにしましょう。
特定の株だけを切り取ったのは意味ないよ。手数料も高いですよ。
>いくら「インデックス」といっても株は上がったり下がったりリスクはあるでしょう。長期間といっても、現金化して使う必要が生じるからもしれないし。。。
ごもっとも。その悩みも簡単に解決できるよ。
貴方のお金の一部は現金で残して、残りを株式インデックスとするんだ。
株式インデックスの中身をいじっても意味ないよ。現金とインデックスの割合が大事。
現金をどれだけ残すかは、貴方の収入がどれだけ安定しているかによるかな。
将来の収入に心配がないって。何と羨ましい。
そういう人は、銀行からお金を借りて、株式インデックスを買うのもありかな(リスクが取れるからね)。
インデックス投資の意味など、今度は少し難しく語ってみる
思いっきり「超訳」してみましたが、いかがでしょうか。当たり前のことを言われた気がしましたか?
次は少し難しく語ってみましょう。
市場ポートフォリオ(全世界株式で近似)に投資するということは、世界の経済成長に投資する、もっと言うなら、参加することです。
個別の企業は爆発的に成長したり、あるいは破綻することもあるでしょう。しかし個別企業の先行きは、原理的に予測不可能です。
全世界株式であれば、その個別の浮き沈みの影響が全体では相殺されます。
残るリスクは全ての株式に共通なリスク、それは端的にいえばマクロの経済リスクであり、定量的にはGDP成長率で示されます。
世界のマクロ経済成長率も当然浮き沈みはあります。しかし、過去の実績が示す通り長期的には右肩上がりの成長を実現してきました。
大不況、直近ではリーマンショック等の経験・反省を経て、金融・財政政策が経済学の知見として蓄積されています。
各国は一時的な経済の落ち込みに対して、その知見を使って回復を図ってきた結果です。
ほぼ唯一の例外が日本です。
バブル崩壊後も、日銀は頑なにインフレ目標導入に抵抗しました(黒田日銀で世界標準の政策を取り入れたことが「異次元」と称されました)。
財務省は財政再建に固執。経済産業省は供給サイド偏重。経済史でも珍しい長期デフレを「実現」しました。
話を戻します。インデックス投資は世界経済への投資なのですから、投資にとって金融・経済政策への理解が欠かせません。
意外に思われましたか?企業財務分析ももちろん必要ですが、マクロ経済に対する理解が一番重要だと、個人的には思っています。
個別株への投資は賭け その時間があれば自分に「賭け」よう
確かに個別株式への投資は、短期間で10倍、20倍といった儲けを手にする話も聞きます。しかしそれは、成功した人の話だけが大きく伝わるからです。その周りには十倍、百倍の死者累々です。
また、個別投資において「割安株」を探すことに熱心な方もいます。悪いとは申しませんが、個人で行う事は推薦しません。膨大な組織力を必要とする作業ですので。
それでは証券会社組成の「割安株ファンド」は?全否定はしませんが、手数料を考えると割に合うとは思っていません。
トービンの分離定理の素晴らしいところは、ポートフォリオ組成に労力をかける必要がないと喝破したところ。その時間を別に使えるのです。
その時間を個別株の割安探しに使う?全く割りに会う話ではないです。
では何に使うのが良いのか。
自己の楽しみに使うのは当たり前・別の話として、将来のリターンという観点では、自己への投資に使うのが一番効率的です。
「使う」とは、自分の得意、あるいは好きなことに時間をかけ、他人との差別化を図ること。
なぜなら自分のことは自分が一番わかるから。少なくとも、他人よりはわかるから。
一方、個別株の探索は、他人を探ることです。いろいろな意味で非効率です。