息子の為の金融論50~株式投資のリターン~ピケティの示唆3
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r>g(資本成長率>経済成長率)が持つ二つの意味

ピケティが歴史的に成立していると発見した事実、r>gは投資に関連して二つの意味があります。

1、金融収益は労働収入を上回る

2、お金持ちほどより高い金融収益を得られる

前回は、1について説明しました。リスクとリターンの関係から冷徹な事実として認めざるを得ないこと、貧困に陥らない為には投資の世界に飛び込み必要があること、を述べました。今回は2について解説します。

お金持ちほどより高い金融収益を得られる

これも不平等な感じがするかもしれませんが、冷徹に成り立つ法則です。

同じくリスクに関連します。

お金持ちほどリスクを取れる、よってリターンも比例して高くなる、というある意味当たり前のことを言っています。

トランプゲームの例

トランプゲームを例にとって説明しましょう。ゲームのルールは以下です;

  • トランプのセットから、ハートのカードだけを抜き出します
  • 伏せたハートのカード13枚を引きます。クイーンが出たら当たり
  • 一枚引くためには一万円を拠出しなくてはいけません。外れたら没収
  • クイーンを引いたら当たり、賞金100万円が授与されます
  • 外れても、保証金2万円を預ければ、拠出金1千万円の没収はありません(←ここ重要
  • 外れ続けても、拠出金(1万円)+保証金(2万円)を毎回積み立てれば、ゲームを続けることができます。当てれば、賞金と共に積立金は戻ります

このゲームに A, B, C 三名が参加します。A氏は3万円を借金して参加、B氏は手元資金3万円、C氏は手元資金50万円で参加です。

結果は明らかでしょう。よほど運が良いのでなければ、勝つのはC氏でしょう。保証金2万円を何回出せるかで、勝負は決まります。
A氏は3回しか勝負できないし、B氏は借金してもせいぜい6回でしょう。一方C氏は15回以上勝負できます。15回も引けば、クイーンを引くことは確率的に普通です。

お金持ちは何度も勝負(リスクティク)できる

C氏が勝つのは、手元資金が潤沢で、何度も勝負できるからです。何回も保証金を積み立てる余力があるからです。勝負とはリスクティクそのものですが、潤沢な手元資金がそれを支えるのです。

この勝負の結果、C氏には100万円の賞金が入ります。手元資金が益々豊富になり、C氏は勝負にかける余力が強まり、更に勝ち続けることが可能になるのです。

尚、この勝負は確率がある程度合理的に読めるものでないと、この限りではありません。

例えば、上のゲームの例では「トランプのセットからハートのカードだけを抜き出す」前提が重要です。この前提で、13枚の中に必ずクイーンが一枚入っていることが、確認できます。確率は1/13ですね。

しかし、前提を「トランプのセットからランダムに13枚を抜き出す」と変更したら、どうなるでしょう。この13枚にクイーンが含まれていない確率は、相応にあります。その場合、永遠に勝てない勝負になるのです。

確率がある程度合理的に読める「勝負」が「投資」です。読めない場合は「賭け」です。大きな違いがあります。

CFD(Contract for Difference)差金決済取引の必勝法

CFDという投資手法があります。例えば、日経225を対象としてその「売買」をするのですが、現物の引き渡しは行わず、反対売買によって出た金額の差で決済を行う取引です。

日経225を28,500円で10単位買ったとしましょう(買建玉10@28,500等と記録します)。
その後日経225は29,000円まで値上がりました。
そこで反対取引(売り)を行います。
500円(29,000-28,500)x 10単位=5,000円の利益を上げることができました!
CFD(差金決済取引)ですので、現物の引き渡しは行わず、差額5,000円が口座に追加されて、取引は終了です。

この取引は差金決済ですが、担保として証拠金を口座に維持しなければいけません。取引額の10%を維持することが一般的です。上の例では、28,500 x 10単位 x 10% = 28,500円を口座に入れなければ取引はできません。

この証拠金ですが(上の例とは逆に)日経225が下落すると損のポジションになりますね。
例えば25,650円まで下落したとしましょう。(25,650-28,500)x 10=△28,500円の損になります。
ここで追加の証拠金28,500円を口座に入れれば取引を継続することができます。それをしないと取引は終了です。強制的に反対取引が行われ、損28,500円が実現します(口座から引き落とされます)。

ここでトランプゲームを思い出してください。保証金2万円を預ければ、負けてもゲームを続けることができましたね。

CFDも同じです。損のポジションになっても、証拠金を維持できれば(追加のお金を拠出できれば)損は実現せず先送りする(取引を続ける)ことが可能なのです。

お金持ちは何度も先送りすることが可能です。しかし、現金が足りない人はそれができず、損が実現してしまうのです。

トランプと全く同じ構図です。お金持ちは損になってもCFDポジションを続ける(ゲームを続ける)ことができるのです。いつか相場が反転して利益が出せるときまで

CFDの必勝法とは、証拠金を維持できる資金力です。

投資と博打

お金持ちほどより高い金融収益を得られる、ことについて、まずトランプゲームを例にとり、次にCFD取引の証拠金維持能力に触れて具体的に説明しました。

しかし、いつか相場が反転して利益が出せるときまで証拠金を積み増すと言われても、反転しなかったらどうするの、下げ続けたらどんな金持ちだって破産しちゃうよ、と思いませんでしたか?

その通りです。よって、何で勝負するか(CFDならばどの商品を買うのか)が重要になるのです。

上のトランプゲームの例で、カードの抜きだし方が重要だといいましたね。ランダムに抜き出す場合は、永遠にクイーンに会えないかもしれません(負け続けます)。
確率が合理的に読める(カードにクイーンが含まれる)場合は投資、それ以外は賭け(博打)です。

CFDの商品でいえば、何が博打で何が投資なのでしょう?私の判断は以下です。

  • 博打:原油、ゴールドなど商品先物、個別株
  • 投資:株式インデックス(但し、中国・香港は除く)、ドル円など先進国為替

<博打側>

原油、ゴールドは、ほぼ需給で決まります。その需給要因は複雑多岐で、相場の方向性はありません。長期に上がり続けるかもしれませんが、下がり続ける可能性もまた同じです。

個別株は、その企業の経営次第でどうにでも変わります。不祥事など起きれば、株価が半値どころかほぼゼロになることも珍しくありません。そして企業の本当の状況は、外からは見えないものです。

<投資側>

株式インデックスは多くの個別株が分散されたポートフォリオです。個別株のリスクは希釈されています。インデックスの長期的な動向はほぼ経済成長で決まります。多くの先進国は中長期的な経済成長を達成しているし(除く日本)その為のツール(マクロ経済政策)も整備されています。中国・香港株を除くのは、政治の独裁性が強まっており、独裁者個人に振り回される要因があまりにも強くなっているからです。インデックスといっても、独裁者個別株式に近くなっています。そして独裁者が何をしでかすか、誰もわかりません。

先進国為替について、為替レートは各国の金融政策の相対的な違いにより決定されます。例えばドル円では、米国は引き締め、日本は緩和維持、がこれからも継続することが合理的に予想されます。すなわち方向性はドル高(円安)です。そして金融政策はマクロ経済政策の一つ(というか代表)ですので、これも経済統計から合理的に推測できます。

株式インデックスの代表、S&P500を例に取れば、中長期的な方向性が上昇であることが強く予想されるので、下げた局面で買い、更に下げても証拠金を積み上げてじっと我慢、やがて来る上昇局面で利食いの行動が合理的です。但し、証拠金を積み上げる体力がないと、損切の憂き目にあいますが。

<<投資は自己責任で>>

 

 

 

 

 

 

 

 

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