
リスクの高い日本株式
経済成長を株式投資のリターンと関連付けて説明してきました。
株式投資のリターンの源泉は経済成長であることを強調しました。
日本人は、会社が頑張るから経済成長をする(=経済成長をしないのは会社が頑張らないから)と考えがちですが、これは一面的な見方で、経済の供給サイドのみ重視する誤りです。経済成長にとっては需要サイドも同レベルに重要です。需要サイドとは、要は家計・個人の懐具合のことです。これが温まらないと、モノは売れず人は職に就けず、デフレの悪循環に陥るのです。
デフレの危険性は経済学でしばしば指摘されましたが、日本はこの30年でそれが正しいことを立証しました。しかし日本の指導者の多くは、デフレは供給サイドに問題がある(会社、或いは日本人の生産性が低い)との見方を頑なに捨てません。政府支出を伸ばさず、税金(含む社会保険料)で国民の可処分所得を棄損し続けたことがデフレの主因であることを、認めようとしません。
投資の観点からすると、リターンの源泉である経済成長が無視される国が日本だと、判断せざるを得ません。アベノミクスで少しは良くなりましたが、岸田政権の政策は不安だらけです。もし、次の日銀総裁に旧日銀(白川前総裁の様な)的な人物が任命された場合、日本株は大きく下落することが予想されます。私は短期間に2万円を割ると思います。
日本株投資の大きなリスクとして、以上の事実を指摘しておきます。日本人の、経済・金融リテラシーの決定的な低さが原因です。情けない話です。
資本収益率は経済成長率を上回る(r>g)
さて、事程左様に重要な経済成長率です。賃金の伸び率などは、殆ど経済成長率で決まります。
これも日本が解りやすい例ですね。先進国で唯一経済成長をしていない日本は、先進国でただ一つ賃金が上昇していない国です。日本の主導者は脱成長の社会実験を行っているのですかね。国民にとっては迷惑なだけです。
ここで資本収益率です。資本収益とは、お金を運用して得られる利益のことです。ほぼ投資のリターンと同じ意味です。
その資本収益の伸び率(資本収益率)は、経済成長率を常に上回ってきた、ということを一人の経済学者が膨大なデータを分析した後、結論付けました。
その経済学者は、トマ・ピケティ(Thomas Piketty、1971年5月7日 - )です。一時期大ブームになりました。映画も作られましたね。大著「21世紀の資本」はベストセラーになりました。
「21世紀の資本」の中で、ピケティは r>g(資本収益率>経済成長率)が成立していることを、統計的事実として証明しました。「理論的にそうなる」という説明ではなく、過去のデータ(税務資料など)を「調べるとそうなっている」という、明確な法則です。
この r>g には二つの意味があると思います。
一つは、金融収益は労働収入を上回る、です。
もう一つは、お金持ちほどより高い金融収益を得られる、です。
この二つの「法則」は、投資に対して幾つかの示唆を与えてくれます。
まず、投資をしないことは貧困への道、とういことです。だって労働収入だけでは、金融収益がある人との格差が広がる一方なのだから。
次に、投資は早く始めよ、です。若いうちから投資を始めて、早い段階でそこそこの運用金額にする。3,000万円程度にすれば、その後の運用では収益率そのものの逓増が期待できるのです。
詳しくは、次回説明いたします。