
お金の機能について2つ説明しました(交換機能、尺度機能)。
今回は三つ目の機能、(価値)保存機能について説明します。
価値保存(保蔵)機能とは、お金によって収入の一部を(使わずに)保管できる機能のことです。
30万円の月収があった場合、20万しか使わなかったら10万円はお金としてその価値を繰り越せるということです。
繰り越す手段として、お金以外にも例えば米を購入して貯蔵しておくことも考えられます。
しかし、お米は時間と共に劣化する、或いは貯蔵するための保管場所が必要になるなど、価値保管機能としては限界があります。
その点お金は、劣化することもなくまた保有のスペースも必要なく、保管手段として最適なものです。
お金のこの価値保管機能は、他の二つの機能(交換・尺度)とはやや性質が異なることに注目しましょう。
交換・尺度機能は、もの・サービスの売買や価値を円滑化し、その価値を統一的に表現するための機能でしたね。
この場合、ものサービスがあくまで主でありお金は付随する陰のような存在です。
一方価値保存機能としてのお金は、例えば海外旅行の「代わり」に貯金するなど、ものやサービスと代替的、言わば対等な関係にあるのです。
実際、お金を貯めることだけが生きがいみたいな人もいますよね。
この人の場合、対等どころか全てのモノやサービスの頂点にお金が存在するのかもしれません。
このお金のもつ価値保存機能は、経済の好不況に実は大きな影響を与えます。
金は天下の回り物といいますが、皆がお金ばかり貯めて、モノ・サービスへの(お金の)回りが悪くなると、経済の調子が悪くなる(不況になる)のです。
まさに日本の失われた20年とアベノミクスに関係するポイントです。
このことは本講座の後半で詳しく説明します。
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