息子の為の金融論25~金融政策の本当のところ⑦
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金融政策について、既に6回分の記事を書きました。

今回はそれら記事の内容を整理することとしました。

6回分を読み返したうえで一読頂けると、全体の理解に繋がると思います。

まずはお金が社会に行き渡ること これが経済活性の大前提

当たり前の様に思えるかもしれませんが、最も重要なポイントです。

最初にお金が必要なこと、に注意してください!ここ重要です!。

経済活性化の結果、お金が行き渡るのではありません。順序が逆なのです。この点は実に多くの人が誤解しているポイントだと思います。

クルーグマンによる「子守協同組合」のエピソードを読むと、最初にお金が必要なことの意味がよくわかると思います。

そもそもお金はどうやって生まれるの? キーボードに打ち込むだけ

お金は金銀財宝から生まれるのではありません(宝島に埋もれている訳ではありません)。

お金は「刷ることで」生まれるのです。どうしてお金が「刷られるのか」というと、それは会社が借金をするからです。銀行は会社からの借入申し込みの応じて、その後にお金は刷られるのです。

銀行は少ない手元(資本金といいます)の何倍もの貸出しができます。その貸出しは、現金を交付することすら行われません。会計データに記帳するだけです。キーボードで (例えば)1,000,000,000.....と打ち込むだけです。

お金の原資として金銀財宝が蓄えられていると勘違いしている人は多いと思います。中央銀行の金庫に金の延べ棒がずらりと並んでいるイメージ。

全く違います。それは昔の「金本位制」の話です。とっくに終わっています。

しかしこのイメージを引き摺っている人は多いです。有名経済学者にもいます。

事実は、お金は刷ることで生まれます。そして今やコンピューター上のデータにすぎません。そしてそのデータ(お金)は、銀行が貸し出しをするたびに増えていくのです。ここを良く理解してください。

金融政策を理解するための二つの「お金」~マネー・ストックとマネタリー・ベース

実は、金融政策的には二つのお金があります

マネー・ストック(社会全体に流通するお金)とマネタリー・ベース(社会のなかで銀行部門に留まるお金)です。

ここまで「お金」と漠然と言ってきたのは「マネー・ストック」のことです。これが増えないと意味がありません。

金融政策マネー・ストック(以下MS)の総量をコントロールしようとするものですが、直接に働きかけるのはマネタリー・ベース(以下MB)です。MBを通じてMSを増やそうとするのです(景気過熱期は逆に減らそうとします)。

難しいのは、MBを増やしてもMSが必ずしも増えるとは限らないことです。そこで中央銀行はMBを増やすと同時に「インフレ目標」をコミットするようになりました。人々のインフレ期待に働きかけることで、人々(特に企業)の経済活動を刺激しようとするものです(結果、借入が増え、MS増大に繋がります)。

この政策は、インフレ目標付き量的緩和策として、世界の中央銀行で標準的な手法となっています。日本は、世界に大きく遅れて(恐らく先進国ではビリ)黒田日銀によってやっと導入しました。マスコミは「異次元緩和」などと報道しましたが、世界ではごく普通の金融政策です。

むしろ黒田日銀までの日銀が異常でした。特に白川総裁は、あれだけ日本がデフレで苦しんでいたのに、インフレ目標導入を頑なに拒否し続けました。官僚の保身でしょうね。

白川日銀はクルーグマンやバーナンキから酷評され続けました。特にバーナンキは当時の日銀を「ジャンク」とまで言い放ちました。適切な評価だと思います。

消費増税とアベノミクスの頓挫 財政政策の出番

相次ぐ消費増税によってインフレ期待は消え去りました。コロナショックに止めを刺され、日本は再びデフレに突入しています。日銀がいくらMBを増やしても、インフレ目標達成といっても、MSは増えません。人々はもはやインフレを期待(予想)しなくなったのです。

政府・日銀が裏切り続けたからです。自業自得です。しかも将来の増税すら示唆している。。。

こうなると財政政策しかありません。ここで財政政策とはマネー・ストックを直接増やす政策を言います。端的な例は給付金です。日本でも10万円を給付しましたね。国民一人の預金口座が10万円増えました。その10万円を使っても、支払ったその相手方の預金が増えたのです。

消費税減税もそうです。支払う税金が減ることで、国民の預金が増えます。逆に言うと、税金とは国民の間で流通するお金(マネー・ストック)を政府が吸い上げる機能があるのです。
バブル期の様に、景気が過熱(MSが過大)している状況での増税は理解できます。しかし、デフレ&結果としてのマイナス金利の状況下で増税をする意味は全くありません。デフレを長引かせる害毒しかないのです。それなりに断行した日本政府って。。。

財政政策の弊害?

日本は財政政策に否定的なことを言う「識者」が多いです。日本経済新聞に登場する「経済学者」(日本人)は殆ど全てその類です。海外の経済学者については、否定的なことを言う数少ない人物を選んで発言させています

財政政策の「弊害」については、大きく以下3つのポイントがあると思います。

1.インフレを加速させる

2.財政破綻を引き起こす

3.経済の健全な成長を阻害する

結論から言うと、現在の日本経済の状況下、上記1-3は全てあてはまりません。

まず2.のポイントについては以下記事を参照ください。

1.3.については、次回以降解説していきます。

日本の経済学者含め「日経に登場する識者」が全て間違う原因は、お金についての理解です。お金はクーポン(子守協同組合を思い出しましょう)と理解すれば良いのに、金銀財宝の変形と勘違いしているのです。このブログを読んでいただいた方はもうお解かりですよね。

 

今年のブログの更新は今回が最終です。来年も宜しくお願いします。良いお年を。

 

 

 

 

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