息子の為の金融論32~若い人への投資のすすめ 4
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インデックス・ファンドのメリットとリスク

前回、インデックス・ファンドのメリットをアクティブと比較して説明しました。

  • 全世界株式のミニチュアとして分散投資の真のメリットを具現している
  • 手数料が低くパフォーマンスの足を引っ張らない

アクティブファンドは、投資総額の少額部分を、「賭け」的に張るのが妥当でしょう。当たった場合の「大化け」を期待するのです。その代わり「外れ」のリスクも覚悟して。高い手数料は「夢のお値段(?)」と割り切りましょう。

インデックス・ファンドにも当然リスクはあります。個別株式のリスクは分散効果で希釈されますが、それでも残るリスクをシステマティックリスクと呼ぶのでした。それは株式市場全体に影響を与えるマクロの事象です。金融危機とか、全世界的な災害とか、金融財政政策の失敗とかです。このシステマティックリスクは、事の性質上、予想及び回避が難しいリスクですが、金融財政政策(の失敗)については予想可能です。

この点、日本はバブル崩壊後、ずーと金融財政政策の失敗を続けてきたので、外国人投資家はこのリスクをすっかり織り込むようになりました。実際、日本株のパフォーマンスは世界最低を続けてきました。私は2000年頃シンガポールに住んでいましたが、投資家から「日本株は危なっかしくて買えない。失礼だが、なぜ日本の金融当局はあれほどstupidなの」と聞かれたことがあります。

逆にアベノミクス初期にあれほど日本株が上昇したのは、珍しく日本が「まともな金融政策」をしたので(システマティック)リスクプレミアムが一部剥がれたためです。

また現在、日本株のパフォーマンスが世界的に低い理由は、世界の殆どが財政拡大に舵を切っているのに、日本だけが「将来の増税」を示唆するような発言を政治家がするからです。折角足元の財政出動はそれなりの規模なのに、これではリスクプレミアムが上乗せされるばかりです。

本当に日本は経済音痴の集団です。

為替リスクについて

インデックス・ファンドのリスクは基本システマティック・リスクですが、日本の居住者が外国株を含めたファンドに投資することに伴う固有のリスクもあります。

それは為替リスクです。円高になると、円に換算した元本が目減りするのです。

為替レートが決まる基本の原理

為替レートについて、様々な方がコメントをします。やれ、「為替は国力の反映」とか、「人口減少と為替の関係」とか。。。

驚くかもしれませんが、殆どのコメントは出鱈目です。適当に「専門家ぶって」いるか、「ポジション・トーク」をしているか、です。

為替とはそもそも何かを考えてみましょう。

それは通貨と通貨の交換比率です。1$に変換するのに必要な円、それが為替レートです。例えば今では108円程度です。108円あれば、銀行(両替商)で1$に交換できるのです。

その意味では、例えば魚と円の交換、すなわち魚を買うことと、同じです。

魚が大量に取れたらどうなるでしょう?
魚と円の交換比率、すなわち魚の値段は下がりますね。

為替レートも基本同じです(同じにならざるを得ない、だって交換比率なのだから)。

ということは、ドルの量が(相対的に)円より多くなれば、ドル安(円高)になります。

逆に、円の量が(相対的に)ドルより多くなれば、円安(ドル高)になるのです。

金融政策の重要性

通貨の量は誰が決めるのでしょう?

このブログでも散々説明してきましたが、それは中央銀行です。彼らが専権としている、金融政策で決まるのです。

アベノミクス初期にアナウンスした「異次元緩和」、それは劇的な効果を示しましたね。あれほど日本経済を苦しめていた円高から日本を解放しました。「異次元緩和」、それは文字通り円という通貨をジャブジャブにすることです。円は相対的にドルより量が増える、すなわち値段が下がる(円安)のです。

面白いのは、実際に「異次元緩和」を始める前から円安が進んだことです。第二次安倍内閣組成が確実視された時点から進みました(安部前総理は金融緩和を主張し続けていた)。それは経済、とりわけ金融の世界が「Expectation(期待)」で動くことを端的に示しています。

インフレ期待の重要性は前にも説明しましたよね。

ところで、この文脈でExpectationを「期待」と訳したのはミスリーディングだと思います。正しくは「予想」です。期待という言葉には価値観が含まれやすいです。予想はニュートラルな言葉なので、分からず屋の誤解を招かなくてすみます。昔、皆が「期待するから」インフレが生じる何て笑止千万、と言われたことがあるので。その分からず屋は「期待」を「Hope」と思ったのでしょうね。日本はこの種の見当はずれの蘊蓄を垂れるオジサンが多いので(若い人は)気を付けてください。

為替レートとインフレの関係

ドル(が使われるアメリカの)インフレ率が(円に対して相対的に)高まると、ドル高になります。何故か?通貨の量とインフレ率とは(通常)正の相関関係がありますので、インフレ率が高まるとは通貨の量が増えること、すなわち(上で説明した通り)通貨の価値が低下するのです。

この様に、インフレ率と為替レートは、通貨量の増加を経由することで、高インフレ通貨の減価(通貨安)に繋がります。尚、インフレ・物価については、以下の投稿で詳細解説しています。参考にしてください。

インフレと為替レートの関係については、上記「通貨量の増加」を介するルートとは別の因果関係があることを、次に説明します。

「インフレは通貨安に繋がる」との結論は変わりませんが、理由が異なるのです。

新興国などで、政変や戦争などが勃発すると、その国の通貨は安くなります。またインフレも広がります。この場合、通貨安・インフレをもたらす要因は、通貨の量ではありません。

それは供給能力の減少、です。戦争などで工場が破壊されたことを想像してください。また政変などで国民が拘束、あるいは他国は逃亡した状況をイメージしてください。

その様な状況下、全ての産業の供給能力が棄損され、商品等の供給が大きく減少するでしょう。通貨(貨幣)に対する商品(財)の量が、総体的に少なくなるのです。当然インフレになるのです。

そしてインフレになるということは、その通貨の購買力が将来に渡り弱まることを、意味します。その通貨の為替テートが減価することで、取引(通貨の交換)が成立することになるのです。

逆に戦争が終結したり、政局が安定すると、その国の通貨は再び強まります。

この様に、新興国、或いは政治的に不安定な国の通貨は、その国の安定度が高まると強まる傾向があることは確かです。「円高は国力の反映」といった高齢の評論家は、戦後の日本のイメージが残っているのかもしれませんね。しかし需給ギャップがある(供給能力が需要を上回る)デフレの日本では、そのロジックは全く通用しません。多くの「経済」評論家が経済のロジックを理解していない一つの証左です。この種の評論家ばかり地上波には出ていますので、騙されないように注意しましょう。

次回は、上記の理解のもと、インデックス・ファンドを保有する上での為替リスク、具体的には円高の可能性をどの様に考えるか、解説します。

 

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