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株式投資の基本はインデックス投資、でも気を付けておきたいこと
前回、投資信託を用いた「外国株式インデックスファンド」の長期リターンが大きいこと(20年でほぼ2倍!)、多数の株式を組み合わすことで個別株式の持つリスクをほぼ排除できることを説明しました。
この「世界中の株式に投資」するスタイルはインデックス投資と呼ばれ、最も効果的な投資スタイルとして、ノーベル経済学賞受賞のトービンが古くから予言・提唱していたものです。情報テクノロジーの発達に伴い、投資信託組成の技術が進むことで、トービンの予言が現実化したものです。
尚、インデックス投資は大きく「パッシブ」と「アクティブ」に分かれます。紹介した「外国株式インデックスファンド」はパッシブ型に分類されるものです。この点の詳細は追って説明します。
さて、「外国株式インデックスファンド」では、個別株式のリスクは排除可能ですが、それでも他のリスクは残ります。以下、インデックス投資において気を付けておきたい3点、①インデックスへの組み入れの考え方 ②システマティック・リスク ③為替リスク について、解説します。
全ての株式を時価総額の割合で組み入れる
パッシブとは市場ポートフォリオへの投資
トービンが提唱したインデックス投資は、全ての株式を時価総額の割合で組み入れる方式~これをパッシブ型と呼びます~でした。何故パッシブ型のインデックスが最も効率的であるかは、以下の投稿を参照にしてください。
パッシブ型インデックス投資は「市場ポートフォリオ」への投資、すなわち「現実の株式市場のミニチュア」へ投資することです。
「株式市場のミニチュア」は何故最も効率的なのでしょう?
それは、数億人の市場参加者が「京(けい)」(兆の次の単位)の単位のお金を投じて、日々、どころか毎秒(プログラム投資では毎0.001秒)売買を繰り返している現実の株式市場、そこで決まる価格以上に合理的な価格はないからです。時価総額は、発行済み株式数×株価、ですので、最も合理的な価格を用いないと、時価総額の過剰・過小評価が生じてしまうのです。
市場で決まる時価総額とは、株式市場が評価するある会社の「サイズ」といえましょう。そのサイズ通りに組み込まないと、主観的な評価が入り込む隙が生じるのです。
アクティブ vs パッシブ
主観的な評価が入ってよいのでは?いわゆる目利きが「ピカピカの」(株式投資では値上がりするという意味)株を選んでバスケットに入れて提供したら?
そのバスケットが「アクティブ型ファンド」なのです。世の中にはたくさんの「アクティブ商品」が溢れています。
アクティブ(ファンド)は市場ポートフォリオを上回るリターンを積極的に狙うファンドです。
例えば「企業価値成長小型株ファンド」「AI特化型ファンド」「グローバルヘルスケア&バイオファンド」等などです。ネーミングから明らかなように、ある特定の特徴を持つ株式をピックアップしたものです。
市場ポートフォリオの考え方からすると、AIやヘルスケアなど、確かに将来の成長性は認めらるが、その成長性は既に株価に織り込まれている筈です(つまり、十分高くなっている)。これからも上がり続けるとは限らないのです。
私の経験からすると、為替や株価など効率的な市場では、価格は上がる下がるの確率が五分五分になるところで決定されています。例えば、皆が割安と思う株価は、これ以上だと割高になる手前の水準で均衡します。要は市場に隙はないのです。
このような経験を持つ私にとって、本当に「ピカピカが選ぶことをできるの?」という疑問が(アクティブファンドには)常に付きまとうのです。
加えて、手数料が極めて高い。。。パッシブの10倍程度が通常です。仮にピカピカが選ばれていても、投資家にとっては手数料で掃き出されるのがおち、が結論かな。
実際調べてみると、アクティブファンドで(手数料込みで)パッシブを上回るリターンを生み出しているのは少ないです。
こう考えると、アクティブ・ファンドは投資というよりは「ギャンブル」として、少額掛けるのが妥当でしょう。手数料は「夢のお値段」と割り切るのです。
実際私も、少額アクティブ・ファンドに「賭けて」います。今のところ全く化けてくれませんが。。。
日本株インデックスを組み入れるべきか
「外国株式インデックスファンド」の長期的リターンの優位性を説明していますが、なぜ日本株インデックスを加えていないか、疑問を持たれたのではないでしょうか?
トービンの市場ポートフォリオは「全世界の株式を時価総額に応じた割合で組み入れる」のですが、日本株だけ外したら片手落ちではないか?
私は、以下二つの理由で日本株インデックスへの投資はしていません。
一つの理由は、日本に住んでいるからです。は?と思われましたか。
日本に住んで、日本の会社から給料を得て、そして日本政府などから年金をもらう。
そのこと自体が、日本株への投資をしているのと同じ方向の効果をもつからです。
日本株が上がるということは、給料(主に賞与)にプラスの影響を持ちます。また、将来の年金受け取りの額にも(プラスに)働くのです。逆もしかり(日本株が下がるといずれもマイナスに)。
私たちは日本に住んでいるだけで、日本株に投資しているのと同じ方向の経済的影響を受けるのです。それに加えて日本株インデックスに投資すると、ポートフォリオのなかの「日本の割合が多くなりすぎる」のです。日本株偏重のアクティブファンドの様なものです。
二つ目の理由は、日本株はシステマティック・リスクが高いのです。システマティック・リスクについては次回詳細説明をしますが、前触れ的に申し上げると、日本政府・官僚の金融経済政策が世界最低レベルにあることが原因です。