
株式投資とは「逆の性質を持つ」債券投資
このブログでは投資の基本としては株式投資を勧めております。その株式投資の基本は以下でした;
- インデックス投資(パッシブ投資)
- 長期投資(10年以上)
- 経済政策運営が信頼できる国への投資
この基本で選ぶと、やはり米国への投資が一番有利と考えられます。パッシブが基本と申し上げましたが、大化けを狙う(賭ける)アクティブ運用として、米国成長型企業をインデックスするファンドへの投資を補完的に組み入れるのも、夢があるかもしれません。
さて、投資と言っても、全てが長期投資(しかも10年以上)に回せるとは限りませんね。例えば5年後に家を購入するまでの間、銀行預金(金利ゼロ)に預けるでなくお金を運用するにはどうしたら良い?
そういった場合には、債券投資がお薦めになります。
債券投資の特徴は;
- 利回り(利息)が予め確定していること
- 期日(満期)には元本がそのまま戻る(償還される)こと
株式の特徴;
- リターンは配当+値上がり益
- 配当は会社の業績次第、株価は日々変動し、元本棄損リスクあり
以上、債券は株式とほぼ真逆の性質をもち、中期(3~5年程度)の資金運用に向いているといえます。
尚、そもそも債券とは何か、については以下投稿を参考にしてください。
債券投資の利回り 二つの源泉
債券投資の利回りは、年率xxx%というように、あらかじめ約束されています。この利回り(例えば年率3%としましょう)は何で決まるのでしょうか。それは以下二つの要素で決まります。
- 市場金利(国債金利)
- 発行する企業の財務リスク(信用リスク)
アメリカの企業を例に取りましょう。現在、アメリカの5年物国債金利は約1%程度です。そしてその企業の財務リスクが「並み程度」とすると、信用リスクは3%程度が妥当とされます。
よって、この企業が発行する債券(社債)の利回りは4%となります。
この社債(期間5年)に100千ドル投資した場合、年間4千ドルの利息を5年間受け取り、5年後の満期に100千ドルの元本が償還されます。
この様に、債券は利息と元本が約束されていますので、投資効果を事前に知ることができるのが、債券津投資の魅力です。プロの世界では Fixed Incomeと呼びます。株式投資よりは期待リターンは低いですが、ミドルリターン・ミドルリスクの資産運用と言えましょう。
債券投資のリスクとは何でしょう?
- 発行した企業が倒産してしまい、利払い、そして元本返済ができなくなる信用リスク
- 投資をしたが途中(満期前)で換金が必要になった場合の金利リスク
債券投資のリスク① 企業の信用リスク
債券投資のリスクの一つ目は、企業の信用リスクです。
要は、会社がつぶれてしまって、貸したお金が返ってこないリスクです。
社債の利回りは、発行する企業の財務リスク(信用リスク)で決まります。単純に、リスクが高いほど利回りは高くなります。
ところで、企業の財務リスクってどの様に判断するのだろう、と思いましたか?
格付け機関というものがあります。そこが企業の「格付け」(Credit Rating)を発表し、投資家はその格付けを見て、投資する会社の財務リスクを判断することが、一般的です。
世界的にはアメリカのMoody's とS&P、日本ではR&IとJCR、が代表的な格付け機関です。
彼らは企業の財務分析を行い、信用リスクに応じて、A,B等の記号にてランク付けを行います。
以下、R&Iによる「格付記号と定義」を引用しますので、参考にしてください。
発行体格付は、発行体が負うすべての金融債務についての総合的な債務履行能力に対するR&Iの意見です。発行体格付は、原則としてすべての発行体に付与します。
AAA 信用力は最も高く、多くの優れた要素がある。 AA 信用力は極めて高く、優れた要素がある。 A 信用力は高く、部分的に優れた要素がある。 BBB 信用力は十分であるが、将来環境が大きく変化する場合、注意すべき要素がある。 BB 信用力は当面問題ないが、将来環境が変化する場合、十分注意すべき要素がある。 B 信用力に問題があり、絶えず注意すべき要素がある。 CCC 信用力に重大な問題があり、金融債務が不履行に陥る懸念が強い。 CC 発行体のすべての金融債務が不履行に陥る懸念が強い。 D 発行体のすべての金融債務が不履行に陥っているとR&Iが判断する格付。
次回、格付け機関が「どの様な視点で格付けを行うか」について説明します。