米国株・日本株・ドル円に関して今年の展望(見通し・考え方)を以下纏めます。
展望は時間の経過(新たな事実との遭遇)と共に修正を迫られますが、その修正の「履歴」を取ることで「今何が起きているか」を少しでも理解することに繋がります。その意味で今回の展望は「展望ver1」です。必要に応じてUPDATE(Ver2、3、4、・・・)していきます。
<投資は自己責任で>
本投稿の内容(展望ver1)
米国株式:FEDの利上げ姿勢(タイミング、利上げ幅)に振らされて値動きが激しい展開だが1年を通じては8%程度は上昇する見通し
日本株:日本株の「割安感」から買いが入る局面もあるが、7月以降は参院選、そして次なる日銀総裁候補に関する思惑次第では暴落のリスクあり
ドル円:日米の金融政策の違い(米は引き締め、日は緩和)により年初は円安が進むが、日本株同様夏以降は日本の金融政策の変化(早期引き締め)に対する思惑から急激な円高も
米国株式
FEDの利上ペース(短期・長期金利の見通し)、インフレの動向、そして企業業績の見通しがポイントとなります。
•Fedの利上は年3回程度。2022年末の短期金利(FF誘導)1.5%、長期金利(国債10年)2.2%程度の見込み
•インフレは年央にかけてCPI3%程度に沈静化
•米国企業の業績は順調。2022年は前年比10%程度の増益、2023年度も同10%以上を予想
FEDによる利上げは3回程度を予想する向きが大半です。
騒がれているインフレは夏ごろに収束するのではないでしょうか。実際、足元の生産者物価(企業の仕入れ価格など)は下落に転じています。インフレの供給要因は正常化に向かっています。
アメリカの企業は元気です。また、家計も平均的には潤っており、消費意欲は旺盛です。企業業績は2022年10%程度、そして2023年(2022年の株価は2023年の予想が大きく影響)はそれ以上の増益を見込む企業が多いです。将来の成長の絵が描けているのがアメリカ企業です。
金利、特に長期金利の上昇は株価に悪影響を与えます。一方、長期金利の緩やかな上昇は、将来の経済成長期待の反映でもあります。2022年はこれら強弱の要因が打ち消しあって、株式投資の巡航速度、即ち8%程度の上昇を見込みます。
2021年末、S&P500は4,766でした。2022年末は5,100~5,200程度を予想します。
投資スタンス:年末までには上昇を見込むといえ、利上げのタイミングなどでは大きく下落する局面も十分想定されます。長期投資については、下落局面でS&P500などインデックスを押し目買いするスタンスを続けます。短期投資(トレード)は、大きな儲けは狙わず小さな利益を積み上げる方針。相場が荒れやすい一方、チャンスもまた訪れる展開を予想
日本株
日本株の見通しは、景気敏感・割安株としての日本株の見直しと、岸田政権の政策リスク(金融・財政)の綱引きとなります。
•日本株は米国株式、欧州株式と比較して大きく出遅れている。低PER(15倍程度)・世界景気敏感株として見直し(買い)が入る可能性
•夏の参院選を乗り切り岸田政権の長期化が実現した場合、増税緊縮路線に加えて早期の金融引き締めが現実化するリスク
日本は政策ミスの多い国です。特に経済関連の政策はほぼ間違い続けています。アベノミクスの初期が救いでしたが、その後の消費増税で頓挫し、現在に至っております。
政策ミスは典型的な「システマティック・リスク」です。どんなに分散投資をしても薄めることができません。株式保有のリスクプレミアムを押し上げ、インデックス全体のバリュエーションを下げます。この辺の理論的解説については、以下投稿を参照ください。
割安株として見直しが入る可能性は確かにあります。オミクロン騒動が落ち着くであろう春頃には、日経平均は3万円台を回復することもあるでしょう。
しかし岸田政権が大きなリスクです。参院選で自民党が「そこそこ勝てば」長期政権の可能性が出てきます。そうなれば「官僚が作文する政策」をそのまま鵜呑みにする政権が長期化するのです。
増税・緊縮路線、金融緩和の否定、そして官僚の裁量権の拡大、です。特に心配なのは金融政策です。来年任期が来る黒田総裁の後任人事に、日銀内部出身の人物を指名する可能性があります。所謂「白い日銀(白川旧総裁路線)」の復活です。
このリスクが顕在化すれば、急激な円高と株安に日本経済は見舞われるでしょう。円は100円を割り込み、日経平均が2万円を下回ることも想定されます。デフレに再突入必至です。
投資スタンス:6月末までに日本株は全て売却し米国株式にシフトする。岸田政権の政策リスクはあまりに高く許容できない
ドル円
ドル円の方向性は、日米の金融政策の相対的な違いで決まります。日本は緩和的、アメリカは引締的ですので、基本的な方向性は円安です。この流れでは、夏前に120円を付けても不思議ではありません。為替レート決定のロジックは、以下投稿を参照してください。
一方、日本株で説明した「岸田政権リスク」があります。ドル円の場合は、円高リスクです。日本が緩和から引締めに変更するわけですから。
この変更は、特に海外筋からは「アベノミクスの巻き戻し」と見られますので、投機筋も加わり急激な円高を引き起こすと考えております。
ドル円見通し:年央までは円安方向。120円に迫る場面も予想される。参院選で自民が勝利し、岸田政権が長期化すれば金融引締の思惑から円高方向へ
円高のリスクがあるのに米国株式にシフトするの?と質問が沸き上がるかもしれません。
私は、仮に「岸田ショック」で円高が進んでも、それが中長期的に続くとは考えておりません。また、米ドルさえ持っていれば、世界どこでも(含む日本)使える状況は強まる、と感じています。
私の投資スタンス、特に米国株式は長期投資ですので、短期的な円高が到来しても困ることはないと判断しています。否、長期的には「円だけを保有するリスク」を感じているほどです。
長期的なドル円の見通しについては、以下投稿を参照してください。
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