投資に役立つメモ:米国インデックス投資の配当は低いのか
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2022年は米国が利上げを実施する年であることに加え、ロシアのウクライナ侵略など地政学的リスクも発生し、株式市場は不安定な動きを続けています。

こういう状況下では、株価の変動とは(直接に)関係なく支払われる配当・分配金の魅力が増しますよね。

そこで今回は、バンガードS&P・500 ETF【VOO】等、米国インデックスETFの分配金について、考えてみたいと思います。

VOO バンガードS&P・500ETF

VOOの概要

代表的な米国インデックスETFです。VOOの概要は以下です。

  • ベンチマークは米国株式市場のパフォーマンス全体を示すS&P500指数
  • 銘柄数507社
  • アップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、アマゾンドットコム(AMZN)、フェイスブック(FB)、アルファベット(GOOGL)(GOOG)、テスラ(TSLA)、バークシャー・ハサウェイ(BRK)、エヌビディア(NVDA)、JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー(JPM)等が主な構成銘柄
  • 運用総額:約32兆円
  • 経費率:0.03%

分配金に関するデータは以下です。

  • 実績:2021年/5.4367、 2020年/5.3027、 2019年/5.5709
  • 分配金の伸び:5年で1.3倍、7年で1.6倍、10年で2.3倍
  • 分配金成長率:5年平均5.6%、7年平均6.6%、10年平均8.6%

株価に関するデータは以下です。

  • 株価(年末):2021年/436.57、2018年/229.81、2016年/205.31、2011年/114.9
  • 株価成長率:5年平均12.3%、7年平均10.4%、10年平均14.3%

VOOを長期保有した場合の分配金の分析

VOOの分配金利回りは1%強(1%~1.3%)程度です。利回りとしては低いですね。

しかしそもそも、インデックスETFは長期保有を前提とする運用商品です。バンガード社もその旨、明言しています。同社は良心的で、長期保有を前提とするゆえ経費率を極限にまで下げている(0.03%)と説明しています。

そこでVOOを長期保有した場合、分配金がどの様に展開するか、シュミレーションしてみました。
前提は以下です。

  • 購入金額:$1,000,000(2,500株、株価$400)
  • 分配金成長率:6%
  • 株価成長率:10%
  • 分配金は全額再投資する

結果は以下です。簿価分配利回りに注目してください。購入金額(この場合$1,000,000)を分母とする利回りです。

【5年後】

  • 保有株数:2,615株(+115)
  • 分配金:7.36
  • 年間分配額:約$18,500
  • 時価分配利回り:1.14%
  • 簿価分配利回り:1.85%
  • 値上がり益:約$680,000

【10年後】

  • 保有株数:2,715株(+215)
  • 分配金:9.85
  • 年間分配額:約$25,800
  • 時価分配利回り:0.95%
  • 簿価分配利回り:2.58%
  • 値上がり益:約$1,800,000

【20年後】

  • 保有株数:2,875株(+375)
  • 分配金:17.65
  • 年間分配額:約$49,000
  • 時価分配利回り:0.66%
  • 簿価分配利回り:4.90%
  • 値上がり益:$6,700,000

VOOを20年間保有した場合の分配利回りは約5%!

VOOを長期保有した場合、「拠出金額(簿価)を分母とする分配金利回り」は着実に増加していきます(当たり前ですが)。

20年間保有した場合、簿価に対して約5%の分配金が期待できます。莫大な含み益(時価ー簿価)と共に、です。

長期保有を前提とした場合、VOOの分配金利回りは決して低くないことが、わかりますね。

インデックス・ファンドのリスクは限定的(特に米国株式)と私は考えています。この限定的なリスクで、莫大な含み益と毎年のインカムを与えてくれるのが、長期投資の魅力です。

高校生から運用を始めれば、35歳頃にはかなりの額の「貯金(含み益)」と「お小遣い(分配金)」がある状態にしてくれるのです!

経済的余裕は行動の自由を与えてくれます。投資をしない選択肢はありません。

VIG: Vanguard Dividend Appreciation Index Fund ETF

代表的なVOOに加えて、個人的に特に魅力を感じているVIGについて、同様な分析をしましょう。

VIGの概要

バンガード米国増配株式ETF(VIG)の概要は以下です。

  • 10年以上連続して増配の実績を持つ銘柄で構成
  • 組み入れ銘柄は約210社
  • マイクロソフト(MSFT)、JP モルガン・チェース・アンド・カンパニー(JPM)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、ウォルマート(WMT)、ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)、ビザ(V)、ホーム・デポ(HD)、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)、コムキャスト(CMCSA)、オラクル(ORCL)など比較的有名銘柄が多い
  • 運用総額:約7兆円
  • 経費率:0.06%

分配金に関するデータは以下です。

  • 実績:2021年/2.6601、 2020年/2.2965、 2019年/2.1339
  • 分配金の伸び:5年で1.5倍、7年で1.7倍、10年で2.3倍
  • 分配金成長率:5年平均7.9%、7年平均7.7%、10年平均8.5%

株価に関するデータは以下です。

  • 株価(年末):2021年/171.75、2018年/97.95、2016年/85.18、2011年/54.65
  • 株価成長率:5年平均9.3%、7年平均8.7%、10年平均12.1%

VIGを長期保有した場合の分配金の分析

VIGの分配金利回りは2%弱です。VOOよりは高いですが、他の高配当インデックスでは、もっと高いものもあります。

VIGの魅力は、分配金の成長です。VOOとは異なる、含み益と分配額のコンビネーションが期待できます。

VIGを長期保有した場合のシュミレーションは以下です。

  • 購入金額:$1,000,000(6,250株、株価$160)
  • 分配金成長率:10%
  • 株価成長率:7%
  • 分配金は全額再投資する

結果は以下です。簿価分配利回りに注目してください。購入金額(この場合$1,000,000)を分母とする利回りです。

【5年後】

  • 保有株数:6,625株(+375)
  • 分配金:3.75
  • 年間分配額:約$23,900
  • 時価分配利回り:1.50%
  • 簿価分配利回り:2.40%
  • 値上がり益:約$660,000

【10年後】

  • 保有株数:6,960株(+215)
  • 分配金:5.00
  • 年間分配額:約$33,600
  • 時価分配利回り:1.24%
  • 簿価分配利回り:3.36%
  • 値上がり益:約$1,800,000

【20年後】

  • 保有株数:7,500株(+1,250)
  • 分配金:9.00
  • 年間分配額:約$65,000
  • 時価分配利回り:0.86%
  • 簿価分配利回り:6.50%
  • 値上がり益:$6,800,000

分配金成長と株価上昇の二兎を追うVIG

20年後の分配金利回りと値上がり益を、VOOとVIGで比較してみましょう。

  • 分配金利回り:VOO 4.90% vs VIG6.50%
  • 分配金(年額):VOO $49,000 vs VIG 65,000
  • 値上がり益:VOO $6,700千 vs VIG%6,800千

両方ともVIGのパフォーマンスが勝りましたね。

これは、VIGが分配金成長と株価上昇の二兎を追うインデックスだからです。

過去のデータを見ると、VIGは二兎を追うことに取り合えず成功、しています。

しかしこれは、特に昨年(2021年)までの流動性相場に支えらえた面も大きいと思います。

それでも、VIGのバランス(分配金と含み益)は絶妙です。

私個人としては、VIGとVOOを基本として長期投資を続けます。

 

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