息子のための金融論7~金利って何? 割引率と現在価値
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現在価値を理解しよう

前回、今のお金と将来のお金では、金利分の差が付くことを説明しました。金利を1%とすると、今のお金100万円に対して、3年後のお金の価値は103万円となります。

それでは逆に3年後の100万円は、今現在どれだけの価値があるのでしょう?

金利1%の例で考えましょう。以下を解くことで計算できます。

  3年後の100万円の今の価値=P と置く

  100=Px  (1.01)  x (1.01)  x (1.01)  ←Pを3年間1%の金利で運用すると100になる

  P=100÷(1.01  x  1.01  x  1 01)≒97

3年後の100万円の今の価値は約97万円となります。これを、「現在価値」は97万円である、と金融の世界では表現します。金利(今回の例では1%)については「割引率」と表現します。

割引率が高いほど、期間が長いほど、現在価値は低くなることが容易に理解できると思います。

例えば割引率5%、期間10年とした場合(10年後の)100万円の現在価値は約62万円となります。

   100÷(1.05 x 1.05 x ・・・1.05)=100÷(1.05)10 ≒62

割引率を期間分だけ掛け合わすので、単純に期間分足し合わせるよりも、10年分の割引率は高くなります。

    (1.05)10 ≒1.628    1+(0.5x10)=1.5

この計算の通り、約0.128割引率は高くなります。金額にすると約4万円の差がつくことになります。これは金利(割引率)の金利も考慮するからです。これを「複利計算」といいます。莫大な金額を扱う金融の世界では、複利計算を忘れるととんでもない損をすることになります。

現在価値は金融の基本中の基本

以上を纏めると:

  • 将来のお金は不確実性があるために現在のお金よりも価値が少ない
  • 将来のお金の「現在価値」は不確実性の程度から決まる「割引率」で計算される
  • 現在価値の計算方法は以下となる

    現在価値=将来のお金÷(1+割引率)年数  

当たり前ですが、割引率が高いほど、年数が長いほど、現在価値は低くなります。

割引率は、不確実性が高いほど大きな数値となります。例えば、銀行は、会社に対してその信用度(確実にお金を返せるかの程度)に応じて金利を設定します。歴史のある大企業には1%、設立まもない中小企業には5%とか、です。それは、貸出先企業の不確実性に対応した割引率に相当する金利設定をしないと、現在価値分の損をしてしまうからに他なりません。

金融の世界では不確実性を「リスク」とも表現します金融の世界で最も重要な要素です。

というか、金融には基本的に二つの要素しかありません。それは

  • 将来どれだけお金が入ってくるか
  • そのお金がちゃんと入る確からしさはどの程度か

例として、ある事業を始めたとします。その事業の価値は以下の様に計算されます。

  • 将来、どの程度の利益が見込めるか
  • その事業はどの程度のリスクがあるか→リスクに見合う割引き率はどの程度か

例として、その事業からの利益が毎年1億円見込め、事業の割引率が8%とすると、事業の価値は以下となります。

事業の価値=1億円÷(1.08)+1億円÷(1.08)2+1億円÷(1.08)3+(1.08)4  

  ・・・・・・ 

この式を事業が継続する年数分、計算することになります。事業を永続に継続する場合は、無限級数という方法を使います(高校で習います)。永続する場合の事業価値は 1億円÷0.08= 12.5億円 となります。

事業も、会社も、株価も、債券も、その他全ての価値は、この考え方で計算されます。その意味では極めてシンプルです。この二つだけなのです

  • 来どれだけお金が入ってくるか
  • どの程度のリスクがあるか(対応する割引率はどの程度か)

価値計算の重要性

この金融の考え方は重要です。

「先のことは割り引かれる」「不確実なことは割り引かれる」と考えよ、ということです。

複数の事柄を選択する際には、その割引後の価値で判断せよ、ということです。

具体例で考えましょう。

将来で不確実であっても、その影響規模が大きいものは、割り引かれても、その現在の重要度は高いです。例えば、原子力発電所の事故対応などがそうです。事故の場合の影響が、ほぼ無限に近い規模となりますので、割引後価値(この場合はマイナスですが)は莫大です。よって事故防止の現在の支出は、どれだけ大きくても正当化されます

消費増税はどうでしょうか。将来の財政破綻のリスクに備える為に、今消費増税を行うと説明されますが、このことの価値計算は見合うのでしょうか

まず、この将来とはいつなのでしょうか。明示されませんが、恐らく20年後とかでしょうか。財政破綻するリスクはどの程度なのでしょうか。財政破綻した場合の経済損失はどの程度なのでしょうか。全く明示されていません

次に消費増税の影響はどのように計算されるのでしょうか。これは、実際に消費支出が減少し経済成長率を押し下げるなど数量的に把握できます。また、過去の引き上げの影響も、参考にできます。また、現在の影響なので割り引かれません。

つまり、いつどの程度起こるかわからない将来のリスクに対して、消費増税という今現在確実に発生してしまう悪影響を選択しているのです。価値計算が見合うとは思えません。増税ありきで理由を考えているのでしょう。

日本人は「将来のために」が好きです。何か善行を働いている気分になるのでしょうか。しかし「将来の為」には必ず「現在の確実なコスト」を負担しているのです。このコストが見合わない場合、日本の国力は将来に向けて侵食され続けるのです。今現在起きているように

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