
大変なマーケットになってきました。最初はアジアだけと思われていた感染拡大でしたが、もはや欧州、そしてアメリカが主役になってきた感があります。
金融市場は大丈夫か
ここまで株価が下落する背景は、経済活動の大幅な縮小、そしてその長期化を市場が織り込んだからです。加えて、金融市場クラッシュのリスクも織り込み始めた感があります。
地雷原の一つは欧州にあります。欧州の銀行は未だリーマンショックの傷が癒えていません。ドイツ銀行が、劣後債の償還期日を延長しましたが、このこと自体は契約に盛られた権利を行使したにすぎませんが、そこまで資金繰りが厳しいのかと、勘繰られます(なので、通常は延長などしないのです)。イタリアの銀行は大丈夫でしょうか。彼らのバランスシートは今一つ信用できません。また、欧州に限ったことではありませんが、金融市場では株を担保に借入をしている銀行、ファンド等が多数あります。この株安では恐らく評価割れをし、追加の担保提供を求められる状況でしょう。提供できない場合、破産(ディフォルト)となり取引が一切停止となります。この連鎖(ドミノ倒し)が続くと金融危機になり、実際リーマンショック時に起きたことです。金融当局の監視と、緊急的融資が必要です。こういった事態で金融機関は潰してはいけません。間違っても自己責任などと言ってはいけません。混乱が収まった後、秩序正しく解散させるのです。
日本でも財政出動の機運が高まってきたような
自民党の若手議員などが消費税ゼロなどの提言を行っています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200311/k10012325531000.html
また、野党でも国民民主党の玉木代表が大型の給付など立案されています。細野豪志議員も国債増発+日銀引受による財政金融協調を主張され始めました。
一方、立憲民主党の枝野代表は消費減税について、財源はどうするかなど、慎重な姿勢です。
野党、新型コロナで消費税減税主張 迫力欠く共闘https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200309/mca2003091918026-n1.htm
また、麻生財務相は相変わらずの経済音痴ぶりを晒しています。
日本を実験場にするつもりない、税収踏まえ国債発行=麻生財務相https://jp.reuters.com/article/aso-budget-idJPKBN20X0M4
とは言え、消費減税など財政出動の流れが強まっていることには変わりありません。
しかし、心配があります。それは消費減税を時限的、一時的とされてしまうことです。
もともと、昨年10-12月の日本経済は、消費増税の悪影響でボロボロでした。その状況にコロナショックが追い打ちをかけているのが日本経済です。先進国では最も深刻といえましょう。
このままでは昨年末の落ち込みも含め、すべてコロナショックが原因とされてしまうことを、懸念します。財政出動の声が高まっても、その中で本物の声を見つけなくてはいけません。
私は、ツィッターでの発言等から、細野豪志議員は本当に理解されていると、思い始めました。微力ながら活躍を応援させていただきたいと思います。
麻生財務相には困ったものだ
先のリンク通り、麻生財務相は「国債増発+日銀購入」はトンデモないことと思っています。また、日本人一般でも、特に高齢者層は、そう思っている人が多いと思います。「ハイパーインフレ」になる、とかいう例の反応です。
でも、何でトンデモと思うのでしょうか。その前に、国債って何か知っているのでしょうか。日銀が国債を買う手続き及びお金の流れは。インフレって何かは。インフレになる経済の仕組みは。
恐らく、かなりの人は知らないと思います。でも何故きっぱりと「ハイパーインフレが」とか(知らないのに)言い切るのでしょう。私は、アベノミクスによる金融緩和が始まった初期の時点で、高齢者達(私も60歳近いですがそれより上の世代)が居酒屋で「アベのせいでハイパーインフレになる、危なくてしょうがない。大体あいつは経済がわかっていない。」と声高に話しているのを聞いたことがあります。おそらくこの方々は(話の内容から)経済の仕組みは知らないと思います。でも何できっぱりとこう言い切るのでしょうか。私が問題視するのは知らないことではありません。知らないのに経済問題についてきっぱりと言い切る、あの日本の高齢者独特の心理です。
恐らく自然科学の分野に関することは、ここまでではないのでしょう。医療は微妙かな。日本は未だに怪しげな民間療法が流行りますからね。
彼らは、経済については、自分の経験的な知識で十分、経済学など役に立たないと、何の根拠もなく思っているのです。実際、あの年代の方々は大学、特に文系では殆ど勉強していないと思います。私の世代もそうでした。特に経済学は、授業に出なくても単位が取れる「楽勝学科」と言われていました。会社もそうです。入社面接の際、経済学を熱心に学んだと言ったら、変わっていると言われたものです。経済学だけでなく、大学で勉強したというと面接官に「引かれる」のが日本社会です(今は少し変わったかな)。
話を麻生氏に戻します。彼は経済学軽視です。実際、「クルーグマンとかいうアメリカの経済学者が訳も分からずに日本経済に提案して」という趣旨の発言をしております。ノーベル経済学者にですよ。他の分野であればこうは言わないと思います。
では何を基準に財務相として判断しているのか。恐らく財務官僚の作文、そして財務省を取り巻く関係者達の言葉でしょう。財務省管轄の親分として、政治的な貸し借りで政策を決めているのかもしれません。いずれにしても、合理的な政策決定をする(最終的に政治的判断はあっても、政策策定のプロセスは合理的になされる)諸外国と決定的に違うところです。
しかしこの国民あって、この財務相です。経済オンチは日本の国民病です。次の世代に感染させてはいけません。
(追記3・14)以下参照ください。消費減税を真っ向から否定しています。老人特有の意固地ですか。もう引退してくれ。
麻生財務相が消費税減税を否定https://www.sankei.com/economy/news/200313/ecn2003130032-n1.html