
昨日、大阪淀屋橋を歩いていたところ、連合が春闘に向けた街頭宣伝を行っていました。
拡声器の発言内容を聞きましたが、誤解に満ちたものでした。曰く
「アベノミクスは株価を上げただけ」「富裕層の為に配当を増やしただけ」
まるで株価上昇が国民経済のプラスになっていないような言葉の連続でした。
全くの誤りです。
株価の上昇は、年金運用の好調に繋がります。結果、年金資産が増えることによる将来の受け取りの安全度が増すのです。
また企業活動の活発化にもプラスに働きます。
個人資産が増えることにより消費が拡大し、経済成長にプラスに働きます。
こう言うと、それでも「格差は拡大している」「(株価が上がっても)企業は賃上げに消極的」との言葉が聞こえそうです。
格差については、低所得者がさらに困窮化して広がるパターンと、高所得者がさらに富裕化するパターンが基本形としてあります。株価上昇は後者のパターンです。
長期間に渡る日本のデフレは前者を引き起こしました。格差が貧困問題を引き起こすのは基本的には前者です。
後者のパターンの格差拡大は、経済の分配政策が格差是正に働かないからです。例えば消費増税は低所得者層の負担が(相対的に)増えますので、逆に格差が拡大します。批判すべきは株高ではなく消費増税など経済政策なのです。
企業が賃上げをしないのは、資金を滞留させている企業が、株高で財務体質に更に余裕ができたのに、投資など企業活動を活発化させないことです。批判すべきは現状維持で消極的すぎる日本の経営者です。事実、海外の投資家は「キャッシュがあるのにじれったいくらい投資をしない日本企業」「前例踏襲で決断があまりにも遅い日本の経営層」との認識が一般的です。
この街頭宣伝のような株そのものを悪者の様に敵視する発言は日本の誤解の典型です。株価の上昇は極めて健全なことで、逆にバブル崩壊後株価の下落を放置し続けたことに問題があるのです。
もう騙されないよう、こういった発言には注意する必要があります。
もう一つAERA dotの「安倍晋三と山本太郎はよく似ている? 2人が影響されたある経済学者とは」 という記事です。この記事は金融経済政策に対する典型的な誤謬に満ち溢れています。
https://dot.asahi.com/dot/2020021700008.html?page=1
要約すると以下の論調です。
1)安部氏と山本氏は「反緊縮」という意味で似ている
2)反緊縮はMMTの影響を受けている
3)世界の保守(右?)は緊縮。左翼は反緊縮(MMT)
4)安倍政権は財政出動(ばらまき)を続け財政再建を無視
5)結果日本の「国の借金」は膨大
6)借金返済を怠る国の将来は暗い
一つ一つ反論すると、
1)安部氏は消費増税を実施 アベノミクス初期時点は別として今や緊縮派
2)「反緊縮」が何を意味しているのかやや不明ですが機動的な財政出動はマクロ経済学の標準
3)あまりに単純化しているし、この分類に何の意味があるか不明。ところでトランプ氏は左翼?
4)上記1)の通りアベノミクスでの財政出動は小規模、消費増税を加えるとむしろ緊縮
5)「国の借金」だけ見ても意味が無い 少なくとも資産と相殺した後の純資産で判断 加えて国には租税権など無形の資産がある
6)重要なのは安定的な経済成長の実現 それに向けた機動的な金融財政政策
この、日本の財政赤字を問題視し、緊縮路線をやたら持ち上げる論調は、昔から存在する極めて悪質な議論です。悪質という意味は、必要な財政政策を封印する方向に世論を誘導します。責任を取りたくない官僚にとってむしろ好都合なのです。
この記事は朝日新聞の記者によるものですが、朝日といえば通常は左派ですよね。しかし何故左派の新聞が、体制(官僚)に好都合で、減税など財政的手当てが必要な低所得者層を更に苦しめる論調を取るのか。日本的な左派の謎です。
上記リンク記事を読み、少しでも納得された方は(失礼な言い方ですが)自分の経済的常識を疑ってください。そして自分で調べてください。今はネット上もで正しい知識を見つけることができます。私も発信を続けていきます。それは自分のため、そして子供の将来の為なのです。