
こ日本政府は20日公表した2月の月例経済報告において、「景気は緩やかに回復している」との判断を維持しました。
西村康稔経済財政相は記者会見で「能天気に持ち直していると言っているわけではない」と説明しています。
完全失業率や雇用環境の安定が続いていることが(回復との)判断の根拠のようです。
内需の柱の個人消費については
「クリスマスシーズンの12月23日が天皇誕生日でなかったことや、台風・暖冬などで12月の消費の落ち込みが想定以上だった」
「いま最も注視すべき最大の懸案は、新型コロナウイルス感染症だ(消費への影響を注視する)」
とコメントしています。
このブログで取り上げた日経新聞の社説とそっくりですね。
消費の落ち込みを自然現象の結果、一時的要因として、消費増税の影響について一切踏み込まない。新型肺炎を前面に打ち出す(但し「注視する」に留まる)。
誰かシナリオ・ライターでもいるのでしょうかね?
この発表には、さすがに足元の景況感とそぐわないとして「増税影響、新型肺炎に「責任転嫁」 政府認識と乖離する指標」との指摘記事が出ています。
https://www.sankei.com/economy/news/200220/ecn2002200047-n1.html
さて、西村康稔経済財政相の発言は正しいのでしょうか?
個人消費の落ち込みを「台風・暖冬のせい」にしていることについては、飯田泰之先生が実に分かりやすく(関係の薄さを)解説されていますので、以下参照ください。
→台風・暖冬は関係ないというデータ
「12月23日が天皇誕生日ではない(ことが消費の不振に繋がった)」については、それを言うかと笑ってしまいました。
経済関連統計値は季節調整という統計的手法によってそもそも休日要因などは(影響しないよう)外されているはずです。経済財政大臣は知らないのでしょうか。
政府は消費増税の悪影響から目をそらし、景気が回復しているとの発表を続けていますが、もはや「大本営発表」化していて、信じている人は少ないでしょう(政府関係者や、関連官庁の影響下にあるエコノミストなどは信じているふりを続けるのでしょうが)。
政府が大本営発表を続けるということは、経済対策を打つ気はないと宣言することと、ほぼ同義です。この姿勢が続く限り、日本経済は再び不況に陥るでしょう。他国が着実に経済政策を進める中無策で一番成長率の落ち込みを示したリーマン後の日本を思い出します。
幸い日本株は未だそれほど下落していないので、早いタイミングで外国株式への入れ替えを進めようと思っています。日本以外の国は(日本もアベノミクスの初期はそうだったのですが)経済にフレンドリーな(経済学的に合理的な)政策を実行しますので、そんなに心配していません(緊縮病のドイツが少し心配かな)。
ところで野党にとって、新型肺炎に対するお粗末な対応と相まって、与党に対する絶好の攻撃のチャンスと思うのですが、消費減税・景気対策を前面に打ち出す姿勢が見えないのが不思議です。
「さくらさくら」と歌っている場合ではないと思うのですが。。。
飯田先生のお薦め図書です。