
円安で日本は負けているーとか、インフレで庶民の生活ガーとか、経済紙やテレビが騒いでいますね。そして「専門家」とやらが「日銀は金融緩和の見直しを」とか宣わっています。
そこで今回は、日本は本当にインフレなのか、円安は日本経済にマイナスなのか、冷静に整理してみます。結論は経済紙が騒いでいる内容と逆です。例によって。
最新の物価の状況
物価、正確には消費者物価指数(CPI: Consumer Price Index)は、総務省統計局が毎月公表しています。(最新)2022年2月分(3月18日公表)は以下です。
「総合」は文字通り、すべての対象商品によって算出。
「総合」から生鮮食品を除いた指数を「コア指数」と呼びます。
「コア指数」から更にエネルギーを除く指数を「コアコア指数」と呼び、最も注目されます。
「コア指数」は、天候や市況など外的要因に左右されやすい生鮮食品を除くことで、物価変動の基調を見ようとするものです。
「コアコア指数」は、主として外部要因で決定されるエネルギーを更に除くことで、更に基調を追求するものです。
日本の現状は、総合・コアは辛うじてプラスですが、コアコアはマイナスです。
全然インフレなどではないのです!
因みに、アメリカのコアCPI(*)は2022年2月で6.4%です。日本とは比較にならないです。
またイギリスも5.2%であり、諸外国と日本は事情が全く異なるのです。
(*)アメリカのコアは日本のコアコアに相当します
円安が経済に与える影響
為替変動が経済に与える影響は多岐に渡ります。日本銀行の整理に倣って纏めると以下です。円安の場合を想定して書きますが、円高の場合は方向が逆になります。
- 財・サービスの輸出の価格競争改善等を通じた増加(+)
- 所得収支(海外投資による収益など)改善による企業収益増加(+)
- 輸入コスト上昇による企業収益の減少及び消費者の購買力低下(ー)
プラス、マイナスありますが、日本銀行や内閣府などマクロ計量計算では、全てのモデルで円安がプラスになっています。
このことは経済紙では語られません。日本はもはや貿易赤字なので1.の効果は薄いとか、3.のマイナスばかりが強調されます。
実際は2.の効果が大きいのです。日本企業の多くは工場を海外に持つとか、海外企業に投資するとか、海外で資産を大きく保有しているのです。そこからの配当収益などが円ベースで大きく膨らむのです。これは会社の決算を押し上げ、従業員への賞与増加や新たな投資への源泉となるのです。
日本の所得収支については以下投稿を参照してください。
また、以下グラフを再び貼っておきます。
個別価格上昇については財政的手当てで解決を
「円安ダー、日銀は金融緩和をやめろ〜」という声が強くなっています。日経新聞とか大手経済誌です。彼らは、アベノミクス前の旧来型日銀や大手銀行系エコノミストとお友達です。
彼らの主張通り日本が金融緩和をやめたらどうなるか。
コアコアが大きくマイナスとなり、本格的なデフレに陥るのです。
物価下がって何か問題でも?と思いますか。ひとつわすれていませんか。貴方の給料も下がるのです!
これはずーとずーと日本が続けてきた失策です。それを再び繰り返し、そして強めるのです。
正直、こんなことをしたら日本経済は再起不能になると思います。
そんかことをせずとも、簡単な方法があるのです。
今大きく上昇しているのは、エネルギー価格や小麦などです。
それらについて、消費税率を軽減すれば良いだけです。特にガソリンについては、価格の半分程度は税金です。その税金をストップすれば良いのです。
でも「財政がー」と騒ぐ人の殆どは「円安がー」に重なります。こんな簡単な解決策を口が裂けても言わないのです。
そして我が国総理は「財務省のポチ」です。総裁選挙前の言動(ポチでない)は嘘であったことは、この数ヶ月で明白になっています。
次の参院選で自民党の票を大きく減らして、岸田首相を退陣させる他はありません。参政党など新しい風も期待できます。そろそろ日本の政治を変えないと。残された時間はあまりありません。