役に立つ経済学の考え方:機会費用とサンクコスト
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経済学は役に立つ知識の宝庫です。
特に日本人には苦手だけど世界的には当たり前の考え方が詰まっています。

今回は「機会費用とサンクコスト」について、説明します。

機会費用「忘れがちだけど常に意識しておくべきコスト」サンクコスト「常に気になるけれども意識して忘れるべきコスト」です。見事に対照的なコストの概念です。

機会費用(opportunity cost)

選択肢が複数あり、その中からある選択肢を選んだとき、他の選択肢は「実行可能なのに選ばなかった選択肢」となります。別の表現をすれば「何らかの経済活動を行う(選択する)ことは、別の選択を行っていたら得られたであろう利得を犠牲にして選択を行っている」と言えるのです。その犠牲にした「得られたであろう利得・価値」のことを機会費用と表現します。機会損失と言えばよりわかりやすいでしょうか。

具体的な例を挙げます。

  • 貴方は一流のコンサルタントで、一時間で1万円の相談料が稼げるとします。同時にPCスキルも巧みで、パワーポイント等の資料つくりも人並み以上にこなします
  • コンサルの仕事が忙しくなってきたので、資料作成についてはパートを雇うことを考えました。ある程度の完成度を求めるには、時給2千円程度は払う必要があります
  • 貴方はその2千円を高いと思い、やはり今まで通り自分で資料作成もすることとしました
  • 2千円を払わずにすんで、ちょっと得した気分です

貴方は得したのでしょうか?

いいえ、貴方は一時間一万円を稼ぐこと(本業のコンサル)を放棄して、2千円で外注できた仕事(資料作成)を自分で行うことを選択したのです。
つまり、一万円を捨て、2千円を得たのです。差引8千円の損失!これが機会費用です。

機会費用はこの様に目に見える形(実際にお金を支払うような)で発生しませんので、つい忘れがちです。長い通勤時間や、ダラダラと続く会議などには、「この時間を他に使えたら得られる利得」が機会費用として発生しているのです。

「忘れがちだけど常に意識しておくべきコスト」、これが機会費用です。

サンクコスト(埋没費用)

サンクコストとは、すでに支出され、どのような意思決定をしても回収できない費用のことを言います。

そしてサンクコスト効果とは、回収不能となった投資金額や時間を惜しみ、投資を継続してしまったり意思決定を誤ってしまったりする心理的傾向のことです。

サンクコスト効果は、ビジネスの現場でたびたび発生します。

多額の時間と費用をかけ、社運をかけると宣言して始めた新規事業があるとしましょう。しかしその後経済環境が激変して、その事業の収益性の見積もりが著しく低下したのです。

こういう場合、社内の会議で必ず「これだけの時間と費用を既にかけたのだから続けるべきだ」という意見がでます。そして結論も「継続、何としてもやり遂げる」となりがちです。

結果、更に時間と費用が積み上がり、累計で莫大な金額を投資したにも関わらず、最終的には撤退のやむ無しに至る事業は少なくありません。

合理的な判断は、経済環境の激変と収益性の悪化が判断された時点で、事業をやめるべきだったのです。

でもなかなか止められないのが「サンクコスト効果」なのです。

サンクコスト効果は、日常生活でも散見されます。ある程度負けてしまったギャンブルが止められないとか、読みだしたらつまらない本を、せっかく買ったのだからと読み続けるとか。

日本人は「もったいない」と良く口にしますが、この「もったいない」はサンクコスト効果に結び付きやすいです。もったいないと思ったら「でもこれサンクコストかも」と考える習慣を身につけましょう。

「常に気になるけれども意識して忘れるべきコスト」、これがサンクコストです。

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